留学生ビザ発給停止について思う事

留学生ビザ発給停止について思う事

コロナ禍の中オンライン授業のみを行う大学や高校に通う留学生へのビザ発給停止とのニュースに衝撃を受けました。大人の政治的意図によって子供達の教育の機会が平然と奪われる事態に…。

“一部の有名大学は感染防止のためすでに授業をすべてオンラインで行う方針を示していて、トランプ政権としては学校にとって重要な収入源でもある留学生を止めることで、圧力をかけるねらいもあるとみられます。(中略)大統領は6日、ツイッターに「学校は秋に開かなければならない!」と投稿して対面での授業再開を強く求め、大統領選挙を前に経済とともに社会的な活動も再開させ、回復を印象づけたい思惑とみられます。(NHK News Web)”

これに対してハーバード大学やMITは提訴をしたとのことで、留学生にとって自体が好転することを願うばかりです。国のトップともあろう人が、いや一人の大人として、正規の手続きを経て教育の機会を手にした子供たちからそを奪うようなことをするなんて…。留学というのは単に学内の授業だけでなく、その国に住み、人と触れ合い、自国との違いを肌で感じることにこそ意義があると思うのです。

海外に住んでみて、私自身もビザの危うさ(不安定さ)を身をもって感じています。手続きの煩雑さ、担当者によって変わる対応、手続きの度重なる変更 etc. この政策転換に翻弄されている留学生の子も、努力してアメリカへの留学のチャンスを手にしたのでしょう。留学生ビザを取るにもいろいろと手続きが必要だったことでしょう。心を弾ませて新生活を待っていたことでしょう。

それがあっさり奪われそうになる、そう考えるだけで心が痛みます。

でも、今回万が一不運な事になってしまったとしても、海外に出て勉強してみようと思った気持ち、そのために勉強したこと、経験したことは決して無駄にはなりません。一時的な政策に翻弄されず、その気持ちを持ち続けて欲しいと思います。

日本にいたら知らなかった事、経験できなかった事が山のようにあります。大人になってから海外に住み始めた私でさえ、新しい経験・学びの連続です。若い人の柔軟な思考力・吸収力を持ってすれば、必ずや大きく成長できる機会となることでしょう。もちろん良いことばかりではありません。苦労も挫折もたくさんすると思います。今回の件だって、日本の大学に進学していれば・・・と思っている子供達もいると思います。情報収集に、対応に、親御さんも苦労されていることと思います。

でも、こうした経験さえ「留学」という挑戦をしなければ得られなかったことです。単なる海外のニュースの一つで終わるでしょう。自ら経験したこと、学んだことは何一つ無駄ではありません。今の気持ちを持ち続け、学ぶ機会を求め続け、飛躍していってほしいと切に願っています。

財産は奪われることがあっても、自分の中に積み重ねた知識や経験は誰も奪うことはできません。知識や経験をどんどん自分の中にため込んで、それを利己的な目的ではなく世の中をよりより方向に導くために使える人になって欲しいと思います。

そして私たち大人は、残された時間をこれから世の中を担っていく子供たちの教育に可能な限り注いでいかないといけないと考えています。