今日は、算数のケアレスミスについて書きたいと思います。
お子さんが学校から持って帰ってきたプリントやテストの結果を見て、「あー、ここはケアレスミスね」と軽く考えてしまいがちですが、ケアレスミスを軽視しないことが非常に大切です。
ケアレスということは、その時たまたま注意力が散漫になって間違えた、ということになりますが、実はそうではないことが多々あります。
よく注意を払ってみると、その子が間違えやすい計算、というものが浮き彫りになってきます。
ケアレスミスか否か?
例えば2×3は絶対に間違えないのに7×3は何度か間違える・・・というのは、
ケアレス=注意散漫だったから、ではないということです。
正直あまり認めたくはないものの「その計算を実はまだマスターできていない」ということです。頭が良いとか悪いとかではなく、その計算をした回数がまだ少ない証拠です。やり直せばできるんだからいいや、ではなく、この苦手な計算を見つけたら練習をする、ということが非常に大切です。
なぜなら、早い段階で苦手な計算を見つけておかないと、あとあとまで引きずってしまうからです!
中学生、高校生になっても、怖いぐらい引きずります・・・
徐々に7×3は間違えないようになっていきますが、割り算の時にこの計算がらみで間違える、分数でこの計算がらみで間違えるなど、びっくりするほど引きずります。
そして、計算間違いをする=正しい答えが出ない=算数が嫌いになっていく
この図式があっという間に完成します。
さらに、計算に苦手意識がつくと、別の方法で計算してみるという工夫ができない、いやしようという気も起こらなくなります。
例えば先ほどの例で、7×3を24と答えたとしましょう。
「ちょっと違うね。もう一回考えてみる?」と問いかけてみて
「忘れた」や「わかんない」と言って、何もしようとしない
7を3回足す、7の段を1から書いてみる、7x2に7を足すなど、別の方法を模索する
この2つは大きな違いです。計算が苦手だと別の計算で答えを導くのを嫌がります。そしてますます計算が苦手になっていきます。
ですので、間違えやすい計算は何度も反復すること、別の計算で答えを出す方法も考えられるようにすること、この2つがまずはとても大事です。
見直せるように順序だてて計算を書いておかないと・・・
さらに、高学年になるにつれて、1つの計算だけでは解けない問題が出てくるようになります。式や計算をなぐり書きであちこちに書く生徒さんは、間違えやすいだけではなく、
はい、この流れがついてしまいます。
中学生や高校生になると何行にもわたる長い数式を書くようになりますが、後から見直しやすいように書いていなければ、当然見直しなんて苦痛な作業はやらなくなります。
小学生の時から
- たった1行でも2行でも計算式をきちんと書くこと
- 筆算は式の近くに見直せるように書くこと
- そして見直すこと
これがとても大事です。
恥ずかしながら息子の話ですが、字が汚い、それに拍車をかけてあちこちにバラバラに書く、という致命的な症状を発症していました。
「これ分からないんだけど…」と持ってくる問題を見ると、どうやって解こうと思ったのか、その形跡をたどることができなんです。あちこちに殴り書きしているから…。
「この計算はどこにしたの?」→「ここ」
「その次は?」→「こっち」…。
「これは0?6?」→「0…」
なんてやり取りをしていくうちに「ここの展開が間違ってるね?」とやっと原因が究明できるわけで、本人は当然自分で見直しなんてしていないわけです。順序だてて書いていけばいいものを、やれやれです。
私のスタディバディの授業では、Zoomのスクリーンに生徒さんに計算も含めて書いてもらうようにしています。そうするとどこで躓いているかが容易に把握できるからです。そしてMathに苦手意識のある生徒さんには、特にこの点(計算を順序だてて書く、見直しをする)を徹底するようにしています。そして正答に行きつかなかった場合、答えに導く前に、「どうしてそう思ったの?」と生徒さんに必ず聞きます。私に説明しようとしているうちに、生徒さん自身で間違いに気づくことが往々にしてあります。このプロセスを「見直し」という形で自分でできるようになれば、ぐんと伸びるというわけです。
ぜひ、ケアレスミスだと片付けずに、Mathを伸ばすチャンスととらえてみてください。